第32号:FeCl3
- 1998/11/09 月 00:00
- 仕事模様
いきなり元素記号などを出してしまって恐縮である。
何のことやら、とお思いの方が大多数だとは思うが、プリント基板なる物を自作したことがある方なら、元素記号はわからなくとも「塩化第2鉄」という名前を出すだけで「ああ、あれね」とピンとくるかも知れない。FeCl3こと「塩化第2鉄」は、銅エッチングに欠かせない化学薬品のことである。
私は化学系ではないので、この薬品がどういった化学反応で銅を溶かすのか、詳しいメカニズムは良く知らない。いわゆる「酸化・還元」の反応であろう、ということはおぼろげながら想像がつく。
化学的なことはわからないが、この薬品、非常に厄介である。
衣服に付いたらまず取れない。衣服だけでなく、床にこぼしたりしても拭き取るのは容易でないのである。私はこれのために何本ズボンを駄目にしたことか。もったいないので、最近は銅エッチングの時だけは作業服を着用してはいるのだが、それでもちょっとはねただけで靴下に黄色いしみが付くことはざらである。
その昔、大物をエッチングしようとしていた社会人研究員が、液のたっぷり入ったトレーをひっくり返してしまい、全身まっ黄色、辺り一面まっ黄色にしてしまったことがある。今でもその時の痕跡が研究室の床に残っているし、今後もおそらく残るのであろう。それほどまでに強烈な薬品なのだ。
あるホームページによると、「第2塩化鉄」は人間にとっての栄養分だそうだ。本当なのであろうか?もし興味のある方はここを覗いてみて下さい。そもそもこのページは検索エンジンで「第2塩化鉄」をサーチして引っかかったページなので、この「ヨジゲン」なるものが何か、と言うことに関しては私は全く知らない。見たところ新種の健康食品のようであるが・・・
※これを書いた翌日、果たして間違っていないかどうかを確かめるために実験室で改めて試薬の名前を確認したところ、「第2塩化鉄」ではなく「塩化第2鉄:FeCl3」が正式名称のようである。とりあえず上の文章は直したものの、「第2塩化鉄」と「塩化第2鉄」というのが果たして同じ物なのかどうかは不明である。
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