Benjamin's LOG

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第20号:八木宇田アンテナ

 マグネトロン、発光ダイオードと共に東北大学電気系の三大発明品のうちの一つ。
 実は今週末:31日(土)に通研の一般公開を行うのであるが、今回の展示の目玉として、大正時代に実験をした八木宇田アンテナに実際に電波を放射させて、簡単な実験を行う、というものがある。当然ながら私の研究室は専門が電波であるから、この展示の準備を行っている訳で、古いアンテナに新しい計測器をつけて実際に電波が放射できるか、又受信できるか、等という試験を繰り返していた。実際に見てみたい、という方は是非31日に東北大学通研まで来て下さい、なんて誰も見ないホームページに書いても仕方ないか。

 八木宇田アンテナの発明の原点は、学生が行った実験にあるそうだ。
 当時、八木教授の研究室の4年生が、電波の送信点と受信点の間に大きさの違うループ状の金属(円形、方形、三角形)を置くことによって、ある時は電波が強く受信され、またある時は電波が弱くなる、という現象を実験から発見したことに端を発する。この現象は、実は金属がループ状でなくても同じように起こるわけで、これが八木宇田アンテナがある方向にのみ指向性を持つ、と言うことの原理になっているのである。
 今では当たり前のように各家庭の屋上に乗っている八木宇田アンテナであるが、大元をたどってみると「ちょっとおかしな現象」から始まっていることは興味深い。これは八木宇田アンテナに限らずマグネトロンも同様で、あれも学生が実験をして理論と合わない結果を出してきたことに端を発するのである。大発明なんていうのは得てしてこういうもの、私のように注意力散漫な人間には到底出来ないことなのであろう・・・

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