Benjamin's LOG

戯言を 綴り続けて 早10年
記録が増えて 減るのは記憶 あと髪の毛

第2478号:くりでん

 宮城県北部、栗駒地区に残る民鉄が「くりでん」ことくりはら田園鉄道。
 全国でも数少ない電化路線を非電化に転換した路線である。元々「栗原電鉄」を略して「くりでん」だったのだが、電車が走らない以上「電気鉄道」では無くなるため、愛称をそのままにして現在の社名を当てはめたと言う意味でも珍しいと言えるだろう。残念ながら来年3月末で廃止になるとのことで、宮城県内で唯一未乗で残っていたくりでんに乗りに行ってみた。
 東北本線の石越から西へ25.3km。ほぼ全線が栗原市内を走るのだが、そもそも栗原市が平成の大合併で栗原郡を一纏めにして誕生した新市であり、旧町名の若柳町、金成町、栗駒町を通って鶯沢町へ至る路線と言った方がわかりやすいかも知れぬ。石越12時23分発の1両編成ディーゼルカーには乗客が8人。うち私を含む3人は明らかにくりでんに乗るのが目的に見える。途中駅は結構あるのだけど、客が乗ってきたのは沢辺と栗駒だけ。客が降りたのも若柳と栗駒、そして終点の細倉マインパーク前だけ。あとの駅ではドアを開けてすぐに閉めると言う動作の繰り返しであった。いくら日曜の昼間とはいえこれでは廃止もやむを得ないかと思われる。
 終点まで約45分。鶯沢辺りまではまさに田園鉄道の名の通りだだっ広い平野を走り抜けるのだが、鶯沢から細倉までは途端に山岳鉄道の様相になるのが面白い。細倉ではやはり乗車するのが目的の乗客が多数待っていて、列車は数分停車しただけですぐ折り返していく。次の列車は2時間後。駅前にはチェーンの脱着場と食堂が1軒、あとはコンビニすらなく、車もほとんど通らない。こんな状態で2時間も待つのはかったるいので、線路沿いに走っている国道457号を鶯沢方向へ歩くことにした。
 約1時間で鶯沢に着いたが、ここから先は線路と道路が乖離しているようなので、仕方なく何もない鶯沢「停留所」で列車を待つことに。それにしても、人工的な音が何もしない空間ってのはほんとに静かですねぇ。これが宮城県の過疎の現状なのですよ。鉄道も廃止になればさらに過疎が進んでしまいそうですね。

Comments

Comment Form

Trackbacks